1941 アルフレッド・ヒッチコック監督 制作国:米 99分27秒
評価:B- ヒッチコック作品鑑賞、第2作目(私にとっての)です。
内容は、良家のお嬢様(リナ)と得体の知れないNEETな男(ジョン=エイズガース)とが、ある日突然、相一目惚れしたのをきっかけに怪しい(?)婚姻生活を築いていくというものです。
それにしても、余りにも奇跡的に口が達者なジョン(ジョニー)。何もかもがすっぽりと丸め込まれてしまいます。伝家の椅子を競馬で売り払ってしまった際も、ちゃんとリナを惹きつける為にそれを買い戻すというオチつき。でも、よく考えてみれば競馬で大当たりするなんて事自体が到底あり得ないことですから、正に彼こそ、その存在自体も「奇跡の男」と呼ぶに相応しい人物だったろうと思います。
そういえば、彼は本当に無職なのか?いつも身形の良い服を着て、豪華な家にも住み、競馬には大当たりする・・・。実のところ、彼自身も相当の良家のお坊ちゃまか、裏で仕事をしていた・・・のではないかと考えさせられるほどに、そのジョニーの「謎」さ加減が上手く描き出されていたと思います。若しそうだとすれば、競馬で当たったことも、実は彼女を離れさせないようにする為の方法だとして合点もいきますしね。・・・となれば、椅子を売り払ったというのも、家具屋に頼み込んでのこと・・・?!
何やかやを経て(上記以外にもジョニーの謎さ,不信さを募らせる巧妙な描写が多々ありましたが)、最後はとうとうジョニーを信じきれなくなったリナが殺されると思い込み、断崖で絶叫するというクライマックスを迎えます。まあ一視聴者である私も、飽くまでも「リナ」側に立っての視点しか描き出されていなかったので、最後までどうなるかとハラハラさせられました。
後は・・・最後が呆気なくハッピーエンドで終わってしまっている点が惜しいですね。ジョニーも一時とはいえ、完全に信じられていない事態まで陥ったんだから、もう少しリナとの間に擦った揉んだがあっても良かったのかなと思います。
最後に・・・本映画の冒頭の部分で、ジョニーがリナの髪型をチョンマゲっぽくしたり、「モンキーフェイス」と言い捲ったり、眼鏡顔の時と比べ「同じ女性とは思えない」と皮肉を言ったりと、どことなくアンチ日本色が浮き出ていた作品だなーと思ってしまったのは私だけでしょうか。制作された年代からしても、ちょうど日米が険悪な関係にあった時期ですから、多分意図的に挿入されたんだろうと思います。時代背景が時代背景なんでやむを得ないのですが、何だかちょっと淋しいですね。
(2006年11月28日22時14分44秒記す)
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