ガヤガヤ・・・ガヤガヤ・・・
電車に揺られながら、今日これから待ち受けているであろう2つ目の企業訪問に向けて準備は万端なはずであった。
行先は新宿から浅草。様々な経路が考えられる中、石部は少々高めではあるが一番近くに位置していた「都営」を利用することに決めた。
残り時間は35分ほど。駅員に聞くのが一番手っ取り早かろうと改札附近にいる駅係員へと声を掛けた。
石部曰く、すみません。新宿から浅草行くにはどの経路で行けばいいでしょうか、と。
駅係員曰く、それなら大門方面ですね。6番線にお進み下さい、と。
言われるが儘「駅員を疑う」ことを知らぬ純真無垢な石部。反対車輛を見送りつつ意気揚々と大門方面行きへと乗り込む。
車内の路線図を細部まで眺めていた石部は、ふとその己が向かう方面と逆側の方面とで駅の数が圧倒的に異なることに気が付いた。
石部の表情は一気に蒼ざめ、恐る恐るその駅数を数え挙げてみると・・・
ハ、ハメられた・・・
石部は心の中で、そう呟かずにはいられなかった。なんと、蔵前駅(浅草へ向かうまでの乗換駅)まで最短(自車線と反対側)で12駅だったのに、今自分が向かおうとしている方面とでは4駅ほどの差がある・・・。
気が動顚して国際競技場駅(新宿駅から2駅目)で降りた石部は、大江戸線が環状型になっていることを利用し反対側の車輛へと乗り込んだ。山手線で言うなら新宿から上野まで行きたいのに品川方面を教えられ、慌てて代々木駅で引き返したような感じである。
これで「最小限の被害に収まった」と安堵する石部。ところが落ち着く暇もなく、又も悪夢は襲いかかってきたのである。
耳にした駅名は何と―――西新宿五丁目ではないか―――
ハ、ハメられた・・・
都庁前駅からもう一つ、光が丘方面へと分岐している。つまり、石部が乗り込んだ車輛は環状線の方ではなかったのである。山手線でいえば、ちょうど京浜東北線と間違ったようなもんだ。
すぐさま西新宿五丁目で降りる石部。反対車輛の到達まで4分ほどあった。この間にアンケート(クレーム)書でも取りに行こう。
・・・こう思ったのが間違いだった。
アンケート書がなかったのは勿論のこと、驚く事勿れ,何と次の電車まで逃してしまったのである。
ハ、ハメられた・・・
予定時刻へとデジタル時計が変わるや否や扉が閉まる。そこには「寛容」の二文字は存在しなかった。
仕方なく次の電車を待つ石部。最早「目的地」と化した「蔵前」までは「ナントカ御徒町駅から二駅だ」という覚え方しかできないほど石部の周りを諦念なるものが取り巻いていた。
そんな状況だったから、またもポカをしでかした。
ハ、ハメられた・・・
蔵前駅の前には「上野御徒町」駅と「新御徒町」駅と二つの「御徒町」が入る駅がある。
ここでどのようなポカをしでかしたかはもうお分かりだろう。そう,「新御徒町」駅を基準として2駅目を数えてしまったのである。
何やかやがあって漸く蔵前駅へと到達した石部。蔵前から浅草までは電車に乗ってたった1分だから恐るるに足らないだろう。
・・・そう思ったことが石部の誤算だった。
ハ、ハメられた・・・
何と都営大江戸線蔵前駅から都営浅草線蔵前駅へと乗り換えるには270m。しかも一旦地上に出てまで歩かなければならないサマである。
・・・ここで更に余計に5分以上は費やしただろう。
その後、石部が企業に遅刻したことは言うに及ばない。当初の予定より30分以上の大遅刻である。
“高い”“不便”“不親切”。この「悪しき三拍子」揃えた「都営」という新たな固定観念が私の中で形成されてしまった。
今のうち、来年度分の悪運をも経験しているんならそれで良いんだが・・・。それとも何か、一昨昨日に行った日光での霊(後日記す)に取り付かれてしまったとでもいうのか・・・。
※この話はノンフィクションです。
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都営浅草線
都営浅草線浅草線(あさくさせん)は、東京都大田区の西馬込駅と墨田区の押上駅を結ぶ、東京都交通局が運営する鉄道路線(地下鉄)。正式名称は1号線浅草線である。全線に亘って地下を走行する。路線名の由来は下町のイメージが色濃く残り、かつ国際都市
[2007/03/31 08:26]
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みゆの部屋