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汚名 

1946 イングリッド・バーグマン,ケーリー・グラント主演 アルフレッド・ヒッチコック監督 制作国:米 101分28秒

評価:B

 単刀直入に、本作の見所はデブリンとアリシアの“微妙な”恋愛関係だと思います。捜査(仕事)のためなら恋人を他人と結婚させることも辞さない(つもりだった)デブリン。最終的には彼(デブリン)の役に立てるのならと渋々セバスチャンと結婚することに決めるアリシア。特に、セバスチャンとの結婚の意思確認の際に、アリシアは結局本心からセバスチャンを愛しているとは公言していないところはミソです。引っ張るに引っ張った挙句、アリシアが生命の危険に曝されてしまうところなんかは、尚更に自分達が正直に好きだと言えなかったことに因るものだと考えると(アリシアの意思確認の前後で彼らが堅く契っていれば結婚以外の手段を取ることも可能だったでしょう)切なくなります。

 しかし彼ら、通常ならデブリンの職務(アリシアにセバスチャンを諜報させること)に反してでも駆け落ちするのがベタでしょうが、ちゃっかりと任務をこなしているとこは奇跡としか言いようがありません(その後デブリンがスペインに行くことになっていた件についてはどう処理したかは知りませんが)。おまけにその任務で探し当てられたウラニウム,映画を観ただけでは何故この砂が危険なブツであるのかは分かりにくいのですが、実は当時の世相を反映して「原子爆弾の材料」として使われる予定のものであったと知って(他サイトを参照して)なお一段と組織ぐるみで働かねばならぬ理由が分かったような気がします。確かにこれだけ大規模な計画ともなるとデブリンも任務に従わなければならなかったわけだ、と。言わば「本来は結ばれてはならぬ(感情移入してはならぬ)関係にある者同士が密かに互いを思い合っていた」という環境だからこそ曳かれるものがあったのでしょう。

 評価は・・・正直かなりし辛かったですが、そこは困った時の「B」頼み。同じヒッチコック作品の『サボタージュ』や『断崖』(何れも前記)に比べれば謎を秘めた部分,それを解明していく部分は余りなかったように思われますのでその部分では劣ると思います。ただ“微妙な”恋愛関係の描き方,アリシアを救い出すためのデブリンの身のこなし方等では目を瞠るものがあったので『断崖』よりは高い「B」、という次第とさせていただきます。
 (2006年12月30日21時54分08秒記す)
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[2006/12/30 21:54] ポケットシネマ | TB(0) | CM(4)

たまに洋画の講評をしてますよね。よく観るんですか?
俺も最近映画にあまりにも疎いことに気付き、少し観てみようと思うんですが、これだけは絶対オススメという作品があれば教えてください。
[2006/12/31 02:09] わでぃ [ 編集 ]

v-265私自身が古い映画を見始めようとしたのも、同様に映画に関する知識が少ないなと感じ始めたことがきっかけです。絶対オススメと強く断言できるかは自信ないのですが、古い映画で宜しければアホウ学部らしく『十二人の怒れる男』(モノクロ期の方が良い),『アラバマ物語』なんかを推薦します。特に前者に関しては私が大学入試の面接で利用したほど(笑)のものです。
 本ブログのポケットシネマでは、管理人の「良いものは後で見たい」との個人的な志向から、一般に「名作」との評判が高いものについては高ければ高いほど見るのを後回しとする傾向にあるのですが、多分これらなら「AA」位の評価は付けられるだろうと思います。
[2006/12/31 03:17] 石部 [ 編集 ]

なるほど、ありがとうございます。
普通に今でもレンタルショップに置いてありますよね?
[2006/12/31 12:21] わでぃ [ 編集 ]

v-54・・・ますね。比較的大きなレンタルショップなら。そこまでマイナーな作品ではないと思うので。
 うまく行けば、地元の図書館や大学の図書館で視聴したり借りたりすることさえできるでしょう。。。
[2007/01/01 02:17] 石部 [ 編集 ]

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