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クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲 

2001 原恵一監督 原恵一脚本 矢島晶子・ならはしみき・藤原啓治声優 制作国:日 89分

評価:B+

 「子供に見せたくない番組」ランキングで必ずと言っても良いほど上位に食い込んでいる『クレヨンしんちゃん』。だけど、そんな「『クレヨンしんちゃん』の映画だけは良い」という評判は前々から耳にしていた(個人的にはなかなか斬新で結構好きですが)ので、一度は是非とも見ておきたいなーと思っていた映画の一つです。

 その(映画の)中でもとりわけ涙を誘うとされたのが、この『嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』。子供に付き添っていた親が涙を流したとか、大人が何度も観に行った等、様々な伝説を残しております。

 
 ・・・なら、観るしかありませんよね。


 展開としては、とにかく大人が育児を試みないまでに懐古趣味に嵌まってしまう・・・いや、そっくり子供時代に戻ってしまうという「ちょっと行き過ぎ」な感が否めません。確かに「ひろし・みさえ等が過去へと目を向ける」→「彼等が歩んできた道程がそっくりそのまま遡る」→「しんのすけ等が生まれた記憶までもがすっぽりと抜け落ちる」→「完全な子供時代の精神に支配される」ということで、「過去を振り返ったらどうなるか?」の一つの仮定としては成り立ちうるでしょう。ただ、私自身としては現実問題として「現状を肯定しつつ(すなわち、しんのすけ等の存在も認めた上で)過去へと目を向けたらどうなるか?」の答えも欲しかったかな~と思います。“現実問題”と言ったように、実際にはこちらの例が多い・・・かと思われます故(偏見かな?尤も、こうする〈現在・未来を完全否定する〉ことによって、却って懐古趣味に走り過ぎた際の恐ろしさを表現しているとも言えましょうが)。

 特筆すべきは、しんちゃんがケン等の野望を打ち砕いてチャコに反論するクライマックの場面。「たとえ喧嘩しても、ずっと家族と一緒にいたいから!」。このフレーズは、子のいない私にとっては理解力不足の感も否めませんが、こと子を持つ親の目からすれば胸が熱くなるものがあったのでしょう。特に「普段のしんのすけの悪行・悪態」を知る親からすれば尚更のことです。

 あと、述べるべき点としては・・・完全に過去へと身を委ねた「ひろし」を「しんちゃん」が靴の臭いを嗅がせることによって(笑)、“今”へと引き戻す場面・演出も秀逸です。これは私自身、とある“クレしんファン”からのご指摘を受けて気付いたことです。それまでは「何でしんちゃんがひろしの幼年期に現れる必要があるんだ?」と思ったりもしてましたが、しんちゃんが「今の靴の臭い」を嗅がせることによって“ひろしの未来”が動き始めたんだな、と。改めて見返してみて、「楽しいこと」「思い出深いこと」は、過去の一場面だけでなく、自分自身が「歩んで」行く場面場面にこそある・・・ことに正面から気付かされます。

 んなわけで、評価は高めに「B+」。「A」ラインに入ってないのはまだ自分が“大人”になりきっていないためです。また何時の日か、“大人”になってから感じる部分も多いのでしょうなぁ。
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[2007/06/06 00:59] ポケットシネマ | TB(0) | CM(0)

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