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検挙率 

 折角適性検査の練習をしているのですから、どうせなら面白そうだなと思う記事を載せていこうと思います。
 普段、私達が日常ニュースを通じて「刑法犯認知件数増加」とか「検挙率低下」といった記事を見て「近頃も日本の治安も悪化したな~」と思われることがあるかもしれません。今回は、これについてのある種意外とも思える話について述べていきたいと思います(といっても通常の社会学部や法学部では“初歩の初歩”といった話なので、ここに至ってこんな事でも納得してしまう自分のアホウさが露見されてしまうところではありますが)。
 前者の「認知件数」とは警察によって把握された刑法犯の数を指し、実際に起きた全犯罪数とは全く別物のことを指します。確かに、子供が駄菓子屋で飴ちゃん一個を万引きするのも厳密に言えば刑法上の犯罪には当たりますが、これを敢えて訴えて裁判に持ち込み責任能力がなくて無罪・・・なんてことはせずに二度としないように注意して済ませることが通常でしょう(それ以前に起訴すら有り得ないでしょうが)。また、名誉毀損をされたが裁判なりに持ち込みそれが世間に知られることによって、それ自体が益々深刻な事態を引き起こすから敢えて親告(犯罪として告訴すること)しないといったことも挙げられます。しかし、ここで注意しておきたいことは、飽くまでも認知件数は犯罪の実数を表すものではなく、問題風に言うならば「見せかけ」のものに過ぎないということです。とすれば、刑法犯の認知件数が増加したからと言っても必ずしも犯罪そのものの数が増加したということを必ずしも意味しません。それどころか、考え様によっては認知件数の増加は警察の捜査能力の向上の結果に因るものとさえ言い得ます。言わば警察の捜査能力が向上したことに因って、今までは見付かっていなかった犯罪が日の目を見るようになったわけです。
 また後者の「検挙率」に関しては、余罪の追及の程度によって左右されるとされています。ここで、先程の認知件数が増加していった結果如何なるでしょう?捜査機関としてみればその事件が発生した分、他の余罪の捜査まで手が回らないということになりますから、結果的に検挙率は低下してしまうということになるのです。因みに、従来は窃盗犯を中心に余罪捜査に力を注ぐことができた、とのことです。
 以上より、「認知件数の増加」と「検挙率の低下」という事態は、必ずしも警察の捜査能力の低下に直結するものではないとの推論が導かれ得るわけです。尤も、これは飽くまでも「推論」に過ぎませんから、このような一面があるということを示唆するのみです。必ずしも絶対的ではありません。実際には本当に警察の捜査能力が低下しているということも考えられ、本当にそうであれば由々しき事態でしょう。ただ、「認知件数増加」「検挙率の低下」といった事態から早急に「警察の捜査能力が衰え、治安が悪くなった」との結論を導くのには安直に過ぎ、論理必然的には導かれ得るものではないのだな~ということを知ったかぎりであります。
 なお、過去との対比で、特に戦後直後なんかは認知件数が少なかったことになりますが、これを例に採れば決して警察の捜査能力が高かったというわけではなく、認知件数の少なさ故に検挙率が高かったということも推察できるでしょう。「実際は、犯罪実数は多く、多くの犯罪が警察に届けられることなく蔓延っていたことが想定されており、治安は比較的良かったとはいえない」とのことです(『2006年法科大学院統一適性試験ガイドブック』参照)。
 
 ・・・まあ、この内容覚えたところで試験に直結するわけでは決してありませんし、こんな事書いてる位だったらもっと他のことやれよといった具合でしたが、興味があったので忘れぬ程度くらいには書き留めておきたいなと思いまして・・・。
 (以上)
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へええ、そうだったのか…。
私もずいぶん安直に考えてたもんです(恥)
[2006/04/17 01:14] ねこ探偵 [ 編集 ]

v-13まあ、飽くまでも1つの推論に過ぎませんので、余り真に受けられない方が・・・。
 要するに、物事を見るときには色々,多面的な見方があって、簡単には結論付けられないこともあるといったところでしょうか。だからこそ、殊に当たり前だと思っていた事柄に関して、意外な一面性を見せられる時にはある種の感動や面白さが見出せ、所謂“知的好奇心”とやらの源になるのでしょうが。
[2006/04/17 23:01] 石部 [ 編集 ]

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