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第十五話 24年目の復讐 

評価:B

 今回は評価を付けるのに少し戸惑いました。と言うのも、嘗てこの話と同じようなケースが少なからず起こったからです(1970年代の小野田元日本兵が生存していたという話や、近くでも旧日本兵が未だに武装したままフィリピンの山奥か何処かで生きていたとの噂等)。これらの事実により、今となっては、どちらかと言えば当作品も有り触れた内容となってしまった感があります。勿論、本作品の制作時期からしてみれば、小野田元兵士等が発見されたのは「後」ということになり、当時では確かに真新しいタイプの発想ではあったろうと思います。この、未来を先読みしたかのような洞察力の深さには、ただただ感嘆させられるところです。但し、苦しいながらも一応「今、見てみたらどうか」という視点で書いていくことをコンセプトにしようと考えているので、評価は敢えて厳しくつけさせてもらいました。ただ、再三再四申し上げてしまい恐縮ですが、それだけ現実味を帯び,可能性の秘めた作品であったことは看過すべきではなかろうと思います。
 
 24年前(1968年当時から)に命を絶った筈の、とある日本兵が横須賀に突如出現する。そして次々と米軍駐屯兵ばかりを襲っていく。しかも、何と水の中から・・・。
 う~ん(・・?)、やっぱし不自然な点が残りますね。何故、水中から出現するという設定にしたのか・・・。それに、その原因も結局分からずじまいでしたし。
 あと、牧が偶然にも通りかかった洞窟(?)から木村を見つけ出す、というところも如何とも言い難く。しかもその洞窟、壁に「帝京」やら何やらで落書きだらけで、迚も木村が長年その場所に生存し続けたようにも思えません。ならば、その洞窟の外にも出ていただろうという事になりますが、果たして食糧等はどのように調達していたのでしょうか。ここら辺が、所謂“現実”と“設定”との違いなのでしょう。まあ、それはそれで同じ日本国内でありながら、猶も気が付かれず放置されていたというところに思いを馳せることができるところではありますが。

 今回は、牧の殴り倒されるシーン,海兵服姿,悲しい過去のエピソードや誕生日等まさに“牧尽くし”でしたね。本シリーズ全体を通して言えることなのですが、毎回の話の度に活躍する人物がいるかと思えば、その次回には最後の方にちょこんとしか出てこない時もあったり・・・とレギュラーでも、その登場は不規則であったりもして、それはそれで持ち味が出ていてなかなか見応えがあったりもします。

 そして結局、木村は擦った揉んだの挙句にボートを奪い、米国の戦艦に体当たりしてしまいます。・・・でも、その後は不思議なくらいに誰もその話について触れようとはしていないのですよね。何ででしょう?事件が「解決」したと言っていたことからも、若しかしたら戦艦に当たることは避け、思い直して途中で自爆した・・・なんていう解釈も成り立ち得るんじゃないでしょうか。
 最後に、野村が「バカバカしい話ですね」と言及したのに対し、的矢所長が戦争の経験してない世代にしてみれば丸で「余所の国の話」に聞こえるんだろうなと一言。確かに、日々戦争の経験世代が少なくなり、戦争に関する認識について軽はずみな言動が増えつつある今、この話は正にピタリと的を射ているのではないでしょうか。
 (2006年04月17日23時41分36秒記す)
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[2006/04/17 23:41] 怪奇大作戦 | TB(0) | CM(0)

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